文庫の会(仮)通信

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『月と土星(朗読のために)』丸山薫

窓際に置いたソファに座っているので、肩のあたりが寒いです。

本日ひざしはとても暖かかったけれども風は冷たくて、いよいよ冬だなあと思うと、ちょっと気が重い。

気圧に左右されるほど繊細ではないけれども、日照時間が短いとやっぱり少し気が滅入るといいますか。

 

で、これからの気晴らしに、好きな作品でも読もうと思って。

で、書こうと思って。ブログでもtwitterでも何でもいいんですけど。

 

で、今日はこれ。

『月と土星(朗読のために)』丸山薫

4ページくらいの短い作品です。ちょっと引きますかね。

 

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晩春の夕ぐれ

私は 郊外の池のほとりに在る

私設天文台を訪れた

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から始まります。

訪れた主人公は夜を待ち、観測台へ案内され主人(K氏)に望遠鏡をのぞかせてもらいます。

 

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K氏がハンドルを執ると

望遠鏡はすばやく旋回した

まるで獲物を追う高角砲のように

それは月を狙つて停止つた

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ここでドキンとわたしの心臓が。

ぎゅんと加速して一点にピントが合わせられるというか。

そのスピード感が。

 

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望遠鏡は天に向けられていたが

私は天を向いて月や星を観察したのではなかった~略~

いわば顕微鏡でも覗くような姿勢で~略~

レンズの中の天体をみおろしたのだつた

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と。

 

晩春のお話ですが、これからの季節は空気も澄むし。

 

丸山薫全集』第二巻 などで読めます。